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コラム
印刷基礎知識①~塗り足し?カンプ?ゴースト?印刷用語学習日記 ~
「印刷って機械にかけたらすぐに仕上がるんじゃないの?」
印刷の基本のキも知らなかった新入社員の私が、ヤマックスで学んだ印刷知識をご紹介します。
第1回:塗り足し?カンプ?ゴースト?印刷用語学習日記
マージナル?ブロッキング?困ったときの印刷用語集
第2回:組み合わせで印象が変わる?!色・色彩学習日記
第3回:ヤマックスの安心はここからきている! 物性試験学習日記
第4回:トムソン(ビク)型?ピナクル型?何が違うの?抜き型の学習日記
第5回:メッシュで版をつくる?!スクリーン版/グラビア版学習日記
第6回:スタンプとは言わせない!奥が深い印刷版 樹脂版/オフセット版の学習日記
第1回目の今回は、印刷専門用語についてご紹介します。
はじめに
私は、2021年4月にヤマックス株式会社に入社し、約2か月間大阪にある事業本部と2か所の工場で
新入社員研修を行いました。
営業部、生産管理課、生産技術課、製版課、シール課、スクリーン課、加工係、品質管理課と
1つの印刷物をつくるのにこんなにもたくさんの部署が関わっていたんだと驚きました。
そんな研修の中で飛び交う印刷専門用語…
「お客さんからカンプが届いたよ。」「ここのデザインは少し塗り足しした方がいいかも。」
「あー、ピンホールがあるから不良品や。」「ブロッキングするから重ねたらあかんで。」
「スクリーン印刷ではスキージを使って印刷するよ。」「ゴーストしてしまうから版を作り直そう。」
_??? ゴースト?版からお化けでも出てくるの??
学習日記
分からない専門用語に首を傾げる私に、上司は優しく教えてくれました。
そんな私の研修中のやり取りから用語の意味をご紹介します。
まずは、シール印刷・シルクスクリーン印刷・デジタル印刷の全てにおいて使用される専門用語のご紹介です。
■ 印刷全体でよく使われる印刷用語
① 塗り足し(太らし)
製版課
「ここのデザインは塗り足しして…。」
_塗り足しってどういうことですか?
「印刷時におこるズレを考慮して、印刷幅を多めにとることだよ。デザインの分色作業時に使う言葉だよ。」
_なるほど…
「例えば、黒い枠で囲まれた赤いハートを印刷するとする。色を分解して
(分色)作業するとなると黒色と赤色を分けないといけないよね。」
_そうですね。赤いハートと、その周りの黒枠が必要…
「そうそう。でもデザインの大きさのままで赤色・黒色と印刷してしまうと、印刷時にズレが起こったときに見栄えが変わってしまうんだ。」
_確かに。材料が見えてしまって白い部分が出ていますね。
「この現象が起きないようにするための対策が塗り足し(太らし)なんだ。
今回だと、赤いハートを黒枠にかぶるくらい(抜き加工のラインより外側)のサイズに塗り足し(太らし)することでズレても見栄えは変わらなくなる。」
_なるほど。印刷幅を広げることが塗り足し(太らし)って意味なんですね。
②カンプ
営業部
「お客さんからカンプが届いたよ。」
_カンプって何ですか?
「お客さんから頂くデザインやレイアウトの具体的な完成見本のこと。デザインをカラープリントしたものだよ。」
_なるほど。じゃあ、カンプを見て工場の人が製品の確認をするってことですね?
「そうそう。工場ではこのカンプを狙って印刷する。でも、カンプと実際の製品とは使う材料もインキも違う。
あくまでも見本として使うんだ。」
_確かに。全く同じ色は出せないですよね。
「彩度を振ったりしてパターンを作ってお客さんに判断してもらうよ。」
_カンプを基に製品づくりが行われているのですね。
③ピンホール
品質管理課
「あー、ピンホールがあるなぁ。」
_ピンホールってなんですか?
「ここに小さい穴が見えるやろ?印刷時、上手くインキがのらずに
残ってしまうと穴ができてしまう。これをピンホールって言うんよ。」
_なるほど。
「柄や文字がピンホールで欠けてしまうと困るよね。ちなみに、検査基準は
お客さんの仕様要求事項に応じて振り分けられて検査してるよ。」
_ピンホールのような小さい現象もしっかり検査して出荷しているんですね。
ここからは、シルクスクリーン印刷で使う専門用語のご紹介です。
■シルクスクリーン印刷でよく使われる印刷用語
④ブロッキング
加工係
「ブロッキングするから重ねたらあかんで。ブロッキングって分かる?」
_いやぁ…分からないです…。
「たくさんの量の印刷物を保管する時に、全部重ねてしまうとインキが重ねられた状態でくっついてしまう。」
_剥がそうとしたらベリベリと破れちゃうやつですね。
「そう。そんな現象のことをブロッキングって呼ぶ。特にクリア印刷は要注意やな。」
_確かに。クリアファイルにシールを入れてると重さで柄が写っちゃったことがあります。
「重さがかからないように数枚に分けて保管すること!」
_はい!保管方法にも工夫がされているんですね。
⑤スキージ
スクリーン課
「スクリーン印刷ではこのスキージでインキを押し出して印刷するよ。」
_同じスキージでも種類分けされているのはなぜですか?
「よく見ると尖り具合や硬度が違うんだ。」
_使い分けているってことですか?
「そうそう。こっちのスキージはよく見ると鋭角でしょ?そして硬度がある。
細かい文字やカラー分解は鋭い方が綺麗に印刷できるんだ。」
_なるほど!
では、もう1つのほうは…柔らかくて丸みがありますね!
「そうだね。角が丸いとインキを押し出す面が多くなる。ということは?」
_鋭角よりもインキの出し量が多くなる?
「正解!インキ量が多い印刷やベタ刷り印刷に向いてるよ。」
_使い分けは誰が判断しているんですか?
「現場のオペレーターが印刷時に判断して使い分けているよ。尖り具合も機械を使ってオペレーターが調節している。」
_オペレーターのノウハウが生かされているのですね!
⑥ゴースト
製版課
「ゴーストしてしまうから版を作り直そう。」
_ゴースト? …何か悪い現象のことですか?
「そうだね。印刷した表面から下地が透けて見えてしまうことだよ。」
_透けて見える…。たしかにおばけみたいな現象ですね。
「特に白色で印刷した時がわかりやすいね。
印刷の効率を下げないために版を作り直すよ。」
_なるほど。
版に不具合があったときに素早く対応できるのもヤマックスの強みですね!
今日のまとめ
たくさんの用語を紹介しましたが、これでもまだほんの一部です。
その他の用語については困ったときの印刷用語集にてご紹介していますので、
「こんな用語聞いたことないな…」「印刷についてもっと知りたい!」という際は、是非こちらのコラムをご活用ください。
ヤマックスでは、研修中、主に工場で印刷専門用語の意味を学びます。
実物を見ながら学ぶことで研修後にもしっかり知識が身についたと思います。
次回は、色と色彩について学びます!
ヤマックスについてもっと知りたい方はこちら!
印刷用語についてもっと知りたい方はこちら!