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コラム

インキの歴史③ ないインキは、ゼロからつくる!インキとヤマックス 

印刷の歴史

インキの歴史について紹介するコラムは、今回が最終回です。
インキの歴史① 印刷インキの発明』では、インキの発明と、印刷業者によって自給自足で製造されていた時代についてご紹介しました。
インキの歴史② 産業革命と人工色素』では、インキが工業として大規模に製造されるきっかけとなった2つの変革である、蒸気機関と人工色素についてご紹介しました。

今回は、ヤマックスが社内で行っている【インキの設計】についてお話します。

どうして印刷会社なのにインキを設計するの?

インキの歴史①』『インキの歴史②』で、昔は印刷工が自分でインキを作成していたことを紹介しました。

現在は色素や添加物が発達し、インキメーカーによって様々な色の高品質なインキが販売されています。
ヤマックスでも各種インキを取り揃えており、お客様の要望に応えるために最適なインキを選別し、使用しています。
しかし、ヤマックスでは自社内でインキ同士を混ぜたり、色素や添加物を配合したりすることがよくあります。
インキメーカーから高品質なインキが販売されているのに、なぜ社内でもインキに手を加えるのでしょうか。

ケース1 色の再現 -インキの調色-

白って200種類あんねん、と有名人が発言した通り、世界は様々な色であふれています。
PANTONEやDICなどで指定された色もあれば、まだこの世に出ていない新しい色もあります。
複雑なニュアンスカラーや、製品塗装に合わせたこだわりの特色。
そんな、インキメーカーでは販売していないような色でも、自分たちで作るのがヤマックス流。
お客様から指定された色を再現するのが、印刷メーカーの腕の見せ所です。

ケース2 ニーズ対応 -インキのカスタマイズ-

印刷物といっても用途は様々。
屋内で使うのか、屋外なのか、使用期間はどれくらいか、特殊な機能が必要なのか…。
お客様のニーズに応える印刷物を作るために、インキ同士を混ぜ合わせたり、時にはオリジナルの添加物を混ぜ込んだりすることもあります。
独自のレシピによって、ヤマックスの高機能&鮮やかな印刷物はできているのです。

インキの最前線にインタビュー!

ヤマックスでインキの色や品質を設計している現場から、リアルな声をお届けします。
実際にインキを担当している社員にインタビューしてみました。

Q. インキに関する仕事でやりがいを感じることはありますか

お客様の指示色を、イメージ通りに短時間で調色できたときです。
特に特殊な難しい色を、1日で何色も作成できたときはやりがいを感じます。
また、単純に「色」についての知識が付きました。
やはり色の知識がなくては、調色はできません。

Q. インキに関する仕事で難しかったこと・苦しかったことはありますか

色をただ造るだけでなく、機能や印刷のしやすさ、そしてお客様から指定された色を再現できているかどうかを考えながら作業しなければなりません。
また、一日掛けても色が合わない事もあり今でも苦戦します。

また、確認環境にて見え方が変わる場合があります。
室内の蛍光灯の下で見るのか、自然光なのか、天気や時間帯によっても見え方は変わります。
実際にお客様はどのように確認するのかを考慮しながら調色します。

Q.印象的だったインキ調色

化粧品の現物を元に色を再現したときです。
12種類の化粧品を見本に、それぞれ2色のパターンを作成したため、12×2の24色を作製しました。
24色の似た色を作ることになりますが、それぞれが同じ色になるのはNG。
狭い色の範囲で、24段階の色差をつけるのに苦労しました。
12種類分の色が1度でOKになればよいのですが、再度色調整が必要になり多くの時間がかかりました。

Q.その他、ちょっとした思い出

インキの調色では、混ぜ込む順番や混ぜ方等の作り方がそれぞれあります。
それを知らなかったりすると正確な色(インキ)が作れません。

今では、過去に作成した似た色を検索するシステムがあります。
まったく同じ色ではなくても、1から作る場合と参考にできる配合がある場合では、やはりかかる時間が違います。

ヤマックスとインキのこれから

百万塔陀羅尼が印刷されてから12世紀。
インキは時代に合わせて進化してきました。
ヤマックスはこれまでも、そしてこれからも、お客様のニーズに合ったインキと印刷技術で、想いをカタチにし続けます。

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